第2章 Destroy the castle of lust
「はい、皆大体覚えたかしら?それじゃあ教室に戻って、配布物を配るわね。先生についてきて」
先生に言われた通り、後ろを追って教室に戻ってきた。大体の構造は覚えられたし、迷っても地図があるからなんとかなるだろう。
「はい、じゃあ今日はこれで終わり、気を付けて帰ってね」
先生はそう言って教室を出て行った。私も早く昼食を食べてパレスへ向かいたいところ。
「小鳥遊さん、だよね」
『ええ。貴方は矢代さん、でしたよね』
「そう!もし良かったら一緒に帰らない?今日駅から出る所見たから!」
『そうだったのですね。駅までなら、是非』
今日は取り敢えず九段下まで乗って、そこから乗り換えか。
「小鳥遊さんはどこの中学?」
『私、院内学級だったもので…』
「そうだったんだ!持病持ち?」
『いいえ。もう完治しましたよ』
「そっか」
『矢代さんの出身中学はどちらですか?』
「杏奈で良いよ。私は〇〇中!」
さっぱり聞いたことがない名前だ。東京に住んでいるが東京の地理に詳しい訳ではない。いつも乗り換えはネット情報に頼りきりだし。
『自分で聞いておいて申し訳ないですが、東京の地理にも詳しくないので…どの辺りでしょうか…?』
「此処の近くだよ。恍星とは逆方向に行くの」
『確かに、近いですね』
「そうそう。家も近いから電車賃節約できるのは嬉しいかな」
『と言う事は杏奈さんのお家もこの近辺なのですか?』
「そうだよ。駅からすぐ」
駅近とはなんとも便利な。駅が近いならどこか電車に乗って帰ってきた時に物凄く楽だし。
「あ、もう駅着いちゃったね。それじゃあまた明日!」
『はい、また明日』
これは、友達、というものだろうか。まさか私に話しかけてくれる人がいるとは思っていなかった。話しかけられると嬉しいものなんだな。
「まもなく3番線に、列車が到着します」
駅のアナウンスで我に帰り、急いで電車に飛び乗った。秀尽学園なんて知らない名前だが、取り敢えずブックマークされているという事は行け、という事だろう。暫くスマホを見つめていると、上から声がした。
「やあ」
『明智さんでしたか』
「帰り早いんだね」
『はい、今日も午前中で終わりだったので』
「僕も丁度終わった所なんだ。これから収録もあるんだけど」
『そうでしたか、私も用事があって』
「へぇ…どこ行くの?」
『蒼山一丁目の方へ』
「珍しいね」