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Black・Rose

第2章 Destroy the castle of lust


「君は昨日の…」

後ろから声を掛けられたので、振り向くと青髪の男子生徒が立っていた。そういえば昨日の通学時にこの男子生徒が川に落ちそうになっていたのを助けた様な。

『あら、昨日の』
「昨日は助かった。礼を言う」
『いえ、お怪我がない様で何よりです』

そういえばこの男子生徒、昨日ははっきりと顔を見なかったが、かなり端正な顔立ちをしている。絵を描いていたのを見るに美術科だろう。普通新入生はそこまで制服を着崩さないので、先輩だと思われる。

『それでは』

割と遅刻ギリギリだったので、私は踵を返して学校へ向かって早足で歩いた。今日はまだ初日という事もあり、今日の内容は学校の施設紹介だったり自己紹介など、かなり緩めなラインナップなので、余計な体力を使わないで済みそうだ。放課後のパレス探索の為にも体力は温存したい。

「おはようございまーす」

なんと校門の前に先生が立って挨拶している。私もそれとなく挨拶しながら、昨日の記憶を思い出し教室へと辿り着いた。席に着くとすぐに先生がやってきて、安堵の溜息を吐いた。

「皆さん、おはようございます。昨日紹介したけれど、貴方達の担任の鈴木です。よろしくね」

女性の担任で、なんとなく落ち着いた雰囲気が感じ取れる。良さそうな先生だ。

「それじゃあ今日の予定の確認ね。まずは1・2時間目にHR、それから学校を案内して、最後に配布物を配って今日はおしまい。午前中で終わる予定だけど、明日から授業があるからしっかり準備してね」

今日は午前中で終わりとはありがたい。午後を探索の時間に回せる。

「それじゃあこれから自己紹介をお願いするわね。1番の人から順番に、出席番号順よ」

自己紹介か…私はあまり経験がない。中学までは院内学級だから自己紹介とかする必要もあんまりなかった。大勢の前で何かを話すというのが新鮮だ。

「はい、それじゃあ次の人」

いよいよ私の番。落ち着いて話すことを心掛けなくては。

『小鳥遊 天音です。部活動はまだ考え中です。沢山話しかけてくださると嬉しいです』

当たり障りのない事を言って切り上げた。クラス全員の紹介も終わって、レクリエーションを行い、学校の案内もしてもらう。とても大きくて綺麗な校舎だ。清掃業者を呼んで綺麗に隅々まで掃除して貰っているということが見て取れる。歩いていてとても気持ちが良かった。
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