• テキストサイズ

あなたが愛してくれたら【R18】

第11章 4月26日 社外


そしてその日も以前の様に、怜治は小夜子の近所まで彼女を送るまでに留めようとした。


「ストーカーになる心配でもしてんの? またこの上着持ってくの、面倒臭い」


そんな彼女の歯に絹を着せぬ物言いも、普段のやり取りでいつの間に怜治は慣れていた。
小夜子のあとについて行き、到着したレンガ張りの彼女のマンションは新しくは無さそうだが、清潔でセキュリティもしっかりしていそうだった。


「やっぱいいな、一人暮らし。 長いの?」

「ん。 大学の時から。 実家から通えない事もないけど、一度家出ちゃうと親がうるさくて、ね」

「なるほど。 飯とかは?」

「お惣菜とか週末の作り置きで適当に。 高階くんとこはお母さん働いてないの?」

「……だね。 親父は稼ぎだけはいいし」

「いいね。 そこでちょっと待ってて」

「? 分かった」


しばらくマンションの前で立ち話をしていたが、何かを思い付いた様に小夜子が中に入って行った。

まだ寒そうに彼の上着を抱き締めて、エレベーターに乗るまでに二度ほどこちらを振り向いては笑う。

可愛い、怜治の頭にそんな言葉が浮かんだ。


「……何だ。 それ」


/ 309ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp