第10章 4月26日 社内
「監査がツッコミそうなとこ位は送るわ」
「いいよ、それで。 ありがとな」
金子が小夜子の椅子の背を叩き、大股で去っていく。
「金子さん、結婚してから益々パワフルですねえ」
「仕事とプライベートは関係無いっていうけどね」
「いい事はいいんじゃないんですか?」
「ああいう時に足元を掬われる」
「なるほど。 さすが湊さん」
そう、だからプライベートなんか邪魔なだけ。
自分もやるべき事を間違えない事だ。
とはいえやはり、若干気が重い。
小夜子や金子の様な中堅にとって、明日の会議みたいなのは比較的緊張を強いられる。
普段は見れないような大物が外部から来る事もある。
しかも今朝から生理痛で体調も悪いし。
『大丈夫?』
達郎と怜治の声が聞こえた気がした。
そんな風に心配してくれなくっても平気。
ただの自業自得なんだから。