第10章 4月26日 社内
部外と気軽に共有出来るスペースが出来ている。
個人の指定やファイル容量等に縛られて、以前は使い勝手が悪かった。
掲示板を見直すとあとは前々から話のあった人事と会計課の連携が完了したと。
あの複雑な給与と会計のシステムの統合なんて苦労しただろう。
特にハードの面で。
「あと、日報も自動反映してくれるんですって」
二期下の後輩が小夜子が眺めていた掲示板を指して教えてくれた。
「何かのRPAかな」
「それにしてもこの時期にね」
「ホント。 でも、あそこの部長なら分かるような」
「柔軟な人ですもんね」
「……て、これの会議スケジュールに、何で私の名前が乗ってんの」
「業務内容の把握もうちの大事な仕事ですし」
それは分かってる。
分かってはいるが、小夜子が思わず口に出したのは、怜治の名前もそこにあったからだ。
定期的に開かれる部課合同の会議なんて、主任以上しか出席しない筈。