第10章 4月26日 社内
それからもしばらく、小夜子はプライベートな関係を断ち切って過ごしていた。
週末に再度一希から連絡があり、彼女は一言だけメッセージを返した。
『好きな人が出来た』
それからは誰ともやり取りをしていない。
一希はみっともなく縋る様な男ではない。
小夜子が関係を持つのは決まってそういうタイプだった。
彼らの優しさは自分のせいじゃない。
小夜子は自分にそう言い聞かせた。
怜治とも元々、社内で顔を合わせる事は滅多にない。
以前に社に入って来た新人の研修や年度始めの事務処理で、彼女の日々は忙殺されていった。
「……ん、何? イントラ変わった?」
朝にメール等を処理しながら社内向けのツールを触っていて、色々と機能が変わっている事に気付いた。
「一週間ほど前の掲示板に載ってましたよ。 便利になりましたよね」
「やだ、見落としてた」