第9章 4月24日 高階家
「新しいオモチャ今度見せてよ」
「……そん、なの」
「俺とどっちが良かった?」
これも彼女の見た目に似合わず、性に関して積極的な紀佳はそういう玩具も好んで使った。
最初は怜治にそれらを見せるのを嫌がっていたが、今は自ら彼にせがむ時もある。
怜治も嫌いではなかった。
紀佳を縛って直前まで高まらせると、理性など捨てて泣きながら怜治を欲しがる。
何だろうが、好きな女にそんな風に求められて嫌な男なんているのか。
「怜治くんに決まってる」
少し癖のある肩までの髪を梳いて、ご褒美とばかりに紀佳の耳に口付ける。
くすぐったそうにそれを避けられ、鼻先に彼女の首筋から髪の生え際の甘い香りが押し付けられた。
こんなことをしていると、紀佳の細い首の辺りを思い切り噛みたくなる。
それは愛しいからか詰まらない独占欲からなのか。
幾度となく考え、その答えは未だに分からない。