第9章 4月24日 高階家
一瞬の無言ののち、紀佳が顔を傾けて微笑いかけた。
「昼間は意地悪したくせに」
「……してないよ」
「分かってるくせに」
先にそっちがよく分かんないこと言うからだ、そんな事を言いかけて口をつぐむ。
怜治が彼女が座っているソファに並ぶと、自然に紀佳がもたれかかってきた。
そんな紀佳の膝の下に手を入れ、横抱きに掬い上げる。
「あ、ダメ。 ……こんな所で」
怜治の膝の上に乗った彼女が慌てた様に体を捻る。
「分かってるよ」
「……泰さんが、帰って来たら」
「別にやるつもり無いし」
「でも」
「昼間っから一人でやらしいことしてた紀佳にお仕置」
無言で押し黙る紀佳。
図星だったらしい。
そもそも彼女の体は一旦火がつけば治まらない。