第9章 4月24日 高階家
うちの会社は中堅だが財団からも支援のある商社だ。
有能な人間は早い内に総務部へと移る。
社により雑用という扱いもあるらしいが、今の職場の場合のその部署は他の課を名実共に束ねる総括の様な存在だった。
彼女も例外ではなく、その中で今の若さで既に上級主任でもある。
個々を見て、状況判断に優れる。
一方で人を平等に扱う。
飲みに行った時は考えられなかったが、やり取りをしてる内に何となく分かる気がした。
特に人と関わったり育てるのに定評がある様だった。
元々の素質もあるだろうが、きっと何年もの間、彼女が努力し続けた結果なのだろう。
自分がこうやって休日にもやみくもに実務を勉強し出したのは小夜子の影響だ。
それだから余計にあの夜の事を後悔した。
あんな風に勢いで自分本位に抱くべきじゃなかった。
彼女の体さえろくに見てなかった。
「…………」
そういえば小夜子とメッセージなどを交わしあっていた間、紀佳と寝ていなかった自分に気付いた。