第9章 4月24日 高階家
「……ふうん?」
「何?」
怜治が移動した時に、一緒にテーブルの隅に運んで来たスマホに紀佳がちらりと目線を移す。
「怜治くん、最近誰か良い人でも出来た?」
「は?」
「彼女とか」
「いや? なんでまた」
「違うのかな」
怜治の頭の上辺りの空を眺めアテが外れた、とても言いだけなそんな紀佳を見て、怜治の胸がささくれだったみたいな不快感を持つ。
「こんなお天気のいいデート日和に勿体無い」
たまに紀佳はこんな発言をする。
その理由が怜治には分からない。
勿体無い?
意味が分からない。
「紀佳とならいいよ。 他は興味無い」
そして黙り込み、子供を叱る時みたいな怒った様な表情をする。
「ダメだよ」
その彼女の眉が僅かにたわむ。
ソファテーブルの下から、怜治の手が紀佳の内腿へと伸びていた。
人差し指と中指を下から上へと沿わせる。
下着に触れる直前に、また下へ。
「…んぁ…」
薬指の爪で柔らかな肌を軽く引っ掻く。
中指とで、細くつねる。
動きを変える度にひく、ひくと紀佳が震えた。
怜治は表情を変えずにそんな彼女を見ている。