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あなたが愛してくれたら【R18】

第6章 4月12日 達郎の店


怜治が両側のポケットに手を入れて歩幅を緩めた。
少し早足になっているとでも思ったらしい。


「態度が会社と大違い。 高階くんって随分と器用だよね」

嫌味のつもりでそう言うと、怜治の口元が幾分綻んだ。

「……ふん」

「何」

「そっちこそ。 他人の事言えねー」

「何が」

「会社じゃ随分澄ましてるし、外に出たらえらい強気だし、寝たら寝たで……まあ、今は何か、しおれて泣きそうだし」

「別に……」

「ホントに具合悪い? 飲み物とか……タクシーの方がいいか」

「大丈夫」


そもそも誰のせいで、なんて責任転嫁もいいとこだ。
夜遅くにわざわざ来てくれた怜治は普通に心配している様子だ。

あの日だって、大人気なく煽ったのはこっち。

小夜子はしばらく何も言えず、怜治の半歩程後を歩いていた。



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