第6章 4月12日 達郎の店
最近やっと膨らみかけた胸は隠して、他人から綺麗だと褒められていた脚を強調するような短かめのスカート。
宿題を見てくれるのに小夜子の隣に腰をかけていた達郎が、そんな自分の太腿にちらと視線を送ってきたのに気付いていた。
『少し、からかうだけ』
歳上の男性に対する憧れと、好奇心。
覚えたての自慰。
なんとなく持て余してしまっていた自分の体。
足りないものを大好きな達郎は埋めてくれるだろうか。
小夜子は軽い気持ちで、達郎に悪戯を仕掛けた。
辞書を取るふりをして彼の腿に手をついた。
彼を上手く交わして大人っぽい達郎のその顔を崩してみたかった。
擦り寄るあらわな彼女の腿とその脚に乗せた手。
彼がとうとう彼女の華奢な指先に触れた。
だが。
今日に限って家に人がいなくなったのは小夜子の誤算だった。
「小夜子? お母さんちょっと美容院に出てくるから! 達郎、悪いけど少しの間留守番お願いねえ」
部屋のドアの向こうには廊下、そこから更に階下へと続く階段の真下から、小夜子の母の高い声が二人の耳に届いた。
その時、達郎は小夜子の肩を引き寄せ彼女の口を塞いでいた。