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あなたが愛してくれたら【R18】

第5章 4月5日とそれ以前 社内、ある居酒屋


「湊さんの事もあれからよく耳にした。 つか俺が普段聞いてなかっただけだ」

「私?」

「野郎共から」

「面倒くさ」

「ふ……でも随分とくだけてんのな。 女性なのに」


同じくテーブルの上の空のグラスに目をやって、怜治が軽く笑う。

まるで同年代みたいに話す。

最も、もっと冷たい人かと思っていた、そんな風に小夜子も周りからよく言われる。


「それも偏見」

「だな。 けど、相手に不足しないってのは便利じゃないの?」

「それ真面目に言ってる?」

「割と」

「不足も何も、必要じゃないなら邪魔なだけじゃないの」

「それも真面目に言ってんの? 世間の大半敵に回すぞ」

「少なくとも高階くんは敵じゃないでしょ」


肩を竦めて受け答えをする小夜子に怜治の声がワントーン低くなる。


「俺は好きな子いるから」


男の表情と声だった。
歳に合わずどこか自嘲じみて。

それをみた小夜子はどういうわけか不快な気分になった。
彼の純粋さ、もしくは正直さに嫉妬でもしたのかは分からない。


それからのやり取りは最悪だった。



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