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あなたが愛してくれたら【R18】

第5章 4月5日とそれ以前 社内、ある居酒屋


「?うん」

「今度話聞いてくれます? ちょっとベンダーの事で困ってて、そういうのは湊さんが得意だったって」

「……いいけど、金曜にでも?」

「ありがとうございます」



そうやって待ち合わせ、会社からさほど遠くない居酒屋の座敷に座る。
愛想の良さげな従業員がおしぼりと箸を二人の席に配りに来た。


「生ビール。 湊さんは何にします?」

「ええと、生ライムサワーで」


最初は延々と仕事の話で、盛り上がったと言えば変な話だが、やはり彼は今の会社に入る予定では無かったらしい。

親が安定性だとかでうるさく、それは置いておいても最終的に判断したのは自分だが、数年後にまた異動の話があった時は恐らく転職を考えるだろうと。


「で、今のうちに資格なんかは取っておこうかと」

「……高階くんって私立のいい大学出てるって聞いてたけど」

「普通だと思いますよ」

「いいよ、敬語とか、普段通りで。 で、一人っ子で実家暮らしならもっと甘えてる子かと思ってた」

「それはただの偏見」

「だね。 ごめんね」

「でもそうかも。 ……分かんね」


怜治は口調と共に膝を崩すと壁に寄りかかり、シャツの首元を緩めてふう、と息をついた。

何杯か目の空になったビールジョッキ。
あまり飲む印象も無かったがこれも意外だと思った。



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