第32章 6月11日 湊のマンション
「変って、どんな?」
こちらが戸惑う程に敏感で繊細な肌。
七色に変わるその吐息。
何が好きなのか、どこまでがいいのか、まだ測りかねる。
「こないだのバスルームみたいのはキツかった?」
「……少、し。 だって怜治、ちょっと変わってる……」
胸元や首筋、耳を舌でくすぐり口付ける。
こんなのでも怜治の腕を掴んでいる小夜子の指に力がこもっている。
「例えそうでも、ベッドの中の事はお互いが良ければ不可侵みたいなもんだと思うけど……」
「けど、後ろはダメ」
「あんなに気持ち良さそうにイッてたのに?」
「………そんな、事」
触れ合っていた小夜子の頬が熱くなった。
怖い、と彼女は言っていた。
「少し縛る位は普通?」
「普通じゃない、んだってば……」
「小夜子みたいのにはいいと思う。 抑えてるとこあるから。 で、こっちももっと裸にしたくなって責めちまう様な気がする」
「………でも」
「そうして欲しい? 潮吹いて漏らす位は良かったっぽいけど」
そう言って煽ってみると小夜子の耳まで赤くなった。
「怜治、の意地悪」
小夜子がこちらを睨んでくる。
最後は気を失ったみたいで心配したけど、本当はああいうのが良かったのか?
けど、これ以上言うと泣くかな。
そうしたい様な、したくない様な。