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あなたが愛してくれたら【R18】

第31章 6月11日 達郎の店



「……にしても、今週は疲れた」


怜治がいきなりカウンターに腕を乗っけて顔を伏せたので、そんな彼に小夜子が首を傾げる。


「そっちもお疲れ様……忙しかった?」

「いや、気が抜けた。 良かった。 小夜に会えて」

「ん? だって先週、会おうって私、言ってなかった?」


確か言ったと思う。
ホテルのバスルームで。


「うん。 けど、油断したら逃げられそうで心配で」

「……………」


そんな事無いよ、そう言おうとして、週半ばの自分の気持ちを読まれていた様でぎくりとした。
タイミングを脱してしまったので少し変な間が空いた。
それを察してか、怜治が小夜子を見詰めて言う。


「俺、小夜の負担にはなりたくない。 だからって、今更離せない。 経験則だけど、一個諦めたら一個迷いが増える。 いくら小夜が逃げたくても、俺からは離れない」


自分はもしかして、というか、きっと色々と見落としている。
実は怜治の方がずっと冷静に物を見ているのだと思う。
何も返せてない、なんて思い悩むだけで、こちらが何も見えてなかったせいだ。


「不安にさせて、ごめんね」

「ん? そりゃ、こっちが勝手に」

「こういうの、下手で、私は最初は怜治にみたいにうまく出来ないかもしれないけど、私もちゃんと愛したいと思う」

「……………」


怜治が無言だったので、自分の言い方が悪かったのかと思い、ゆっくりと言い直す。


「あ、そうじゃないって意味じゃなくって、ただやり方がよく分からなくって。 でも、私は怜治と一緒にいたいから、だから……そういうのも、これから教えてもらいたいなって」


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