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あなたが愛してくれたら【R18】

第29章 6月6日 ホテルのバスルーム



「………小夜?」

「体ベタベタで少し気持ち悪い。 シャワー浴びてくる」

「小夜」


立ち上がりかけた時に足がもつれて、前のめりになりそうになり怜治が慌てて腕を引いた。


「立てない? 連れてくから捕まって」

「あ」


小夜子の体の下に腕を入れて立ち上がり、怜治が入り口の右手にあるシャワー室の取っ手を回す。

その間怜治に抱えられて小夜子の顔が赤くなっていた。

ビジネスホテルでは無いからか、バスルームは広めで綺麗な作りだった。


「これ、風呂も入れそうだな」

「入りたいけど、今それしたら溺れそう……」

「一緒に入る?」

「……ん。 ていうか、重くない?」

「全く。 小夜子細いし」


バスタブに湯を張ってる間、小夜子は怜治の膝に乗ってまた先ほどのことを考えていた。


「ねえ? こんな風に、私は怜治に甘えてるんじゃないの?」

「そりゃただの性差だろ。 小夜が鍛えたら俺を持ち上げられる?」


怜治が笑い、シャワーのコックを捻り、温度を確かめると緩い水量で小夜の肌を流し始める。

性差。
あまり好きな言葉じゃない。
一人暮らしや何だかんだは慣れれば何とでもなる。

自分に出来っこないのに男性が出来る、その事を指摘されるとなんだか負けた様な気分になる。
こうやって彼に乗っかって体を預けてるのに、随分と理不尽な思いだと我ながら呆れる。


……何となく気付いていたけど、怜治は元々他人に甘えるタイプでは無いんだろう。
一人っ子とはいえ、いつも周りに世話をしてくれる大人がいた訳では無さそうだし。

そしてそれも、彼の尊重すべき特性なのだと思うことにした。



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