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あなたが愛してくれたら【R18】

第29章 6月6日 ホテルのバスルーム


ベッドの中で、クッション代わりにした枕の上に組んだ腕と頭を置き、一緒に暮らすのもいいかもね、そう冗談交じりに言ってみた。


「金銭的には合理的で良いかもだけど、それは無理」


特に表情を変えずに怜治に断られ、一瞬困惑した。
そんな小夜子を見て、そういう意味じゃない、と彼が腕を伸ばして抱き寄せる。


「今そうなると、俺、小夜に甘えてしまいそうだから」

「そんなの、いいのに。 一人暮らしだって単に私の方が年数が長いだけで」

「うん。 きっと小夜ならそうするんだろうな。 だから余計に」

「私は怜治を駄目にする?」

「そうじゃない。 単に今の俺が色々至らないだけ。 ちゃんと小夜に釣り合う様になってからそうしたいだけ」


分かるような気もするし、分からないような気もする。
何かが出来なくても怜治は怜治だ。

道ばたにある雑草も、温室の中の百合の花も、その特質はそれぞれのもの。
至らないなんて、思う事ない。



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