第27章 6月6日 ホテル
小夜子は一度達してからの方が良いらしい。
さっきみたいに抵抗せずに、こちらに身を委ねてくる。
「んん、深………い、」
「これ、いいな」
猫みたいに細くしなやかな体を時おり揺すると胸が揺れ、きつく抱くと柔らかく潰れて耳元で鳴く。
指に滑って食い込む果実を思わせる臀部の感触。
そしてこちらが余り自由に動けないせいか、小夜子の反応がいい。
「……………」
もしかして自分は、結構下手くそなんだろうか、と怜治は思う。
思えば紀佳にはやんわりとリードされっぱなしだったし、小夜子とも最初は泣かれるわ、さっきも微妙に辛そうだった。
「……小夜」
「ん、」
「俺もっとセックスの腕磨く」
「へ……なに」
「あと、仕事も負けねえぐらい」
「う………ん? でも、今……いう事じゃ」
「……まあな」
怜治って時々おかしいよね、そんな風にくすくす笑うも間もなく、それが徐々に喘ぎ声に変換された。
彼女はその時の声まで変わる。
今はため息に近い、幸福そうに囁く様な。
「ぁ…ん、は……怜」
「俺の足んとこまで、垂れてる」
「って、中ずっ…といっぱい、で……溶け、そ」
「少し動く」
今度は驚かせない様に、小夜子に断りを入れた。
「あ、ぁあ…っや、そんなに動…か」
小夜子がまた避ける様に怜治にしがみついてきた。
これはこれで嬉しいけど、こちらは少しは動かさないと。
いくら何でもこれ位は許して欲しい。