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あなたが愛してくれたら【R18】

第3章 4月10日 湊のマンション


「……雨の匂いがする」


独り言みたいな彼女の言葉に、一希は窓辺に寄り空を見上げた。


「雨? 降ってないけど。 それより小夜子、来週は? 飲みにでも」

「遠慮しとく。 先約あるから」


あっさりとした小夜子の返事に何かを言いかけ、目を逸らして男はそれを諦めた。

小夜子もちゃんと休めよ、一言そう言って彼女の肩を撫でてから、男が静かにドアを閉めて出て行く。


そう言えば、あの子の苗字ってなんだっけな。


足音が遠くなる。

スマホを覗くのももう億劫になり、長い睫毛と一緒に小夜子の瞼は伏せられていった。




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