第24章 6月6日 レストランの庭、ホテル
身体的に辛いのか、他に理由があるのか分からなかった。
ただ自分の体を庇う様に抱き締めて、震え続ける彼女が受け止め切れないのだとは理解した。
「……好きな人と、…無く、って…分かんない。 おかしくなりそうで、怖い。 体、も」
「ごめん。 ゆっくりする」
それなら怖がらせない様に抱くから。
そんな言葉は逆にこっちを嬉しがらせるのだって、小夜子は気付かない。
程なく落ち着いて来たのか、彼女は涙の跡を残した申し訳なさそうな表情で、怜治の首筋や胸元に口付けてきた。
「少し休もう」
小夜子の額にキスをして、その体をシーツで包んだ。
達した様だったが、二度目の凪の後は小夜子が限界だったらしく、怜治に身を寄せてきたと思ったらそのまま寝入ってしまった。
そんな彼女の首の下に自分の腕を入れ、しばらくその寝顔に見入っていたが、つられて怜治の方も目を閉じる。