第24章 6月6日 レストランの庭、ホテル
太陽が黄色く見えるという表現がある。
今までその実際の意味が分からなかったが、確かに今朝のそれはそう見えた。
昨日が金曜か土曜辺りならもう一日、いや二日ゆっくりできた所だが、生憎と今日は出勤日だ。
とりあえず家に着替えに戻りたいからと小夜子が言うので、明け方の4時頃にホテルを出た。
昨日昼から碌に食べていなかったため朝食でも、と言おうとしたが、小夜子の方がふらついていたのでこれもそのまま家に帰す事にした。
とはいえ別れ難かった。
したのだってよくよく考えるとそれ程でもなく、週に二度とするとひと月どころか半月分位のものだ。
正直言って全然足りない。
「今晩はゆっくり休んでな」
「ありがと、また連絡する」
そう言ってあっさりと背を向けた小夜子に少し素っ気無さを感じつつ、晴れてはいるが湿り気の混ざる空の下を歩き始める。
すぐに着信が鳴り、少しの間それを見詰めた。
『もう会いたい』
俺も、と口に出して呟いた。
こんな風に、あっという間に彼女は自分を捕まえるんだ。