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あなたが愛してくれたら【R18】

第24章 6月6日 レストランの庭、ホテル


彼女の髪の香り。

香水の匂いはしない。
いつかまた何か付けるんだろうか。


「いい? ここ丁度ホテルだし」


ムードもへったくれも無いな、我ながらそう思う。

けれど、その前に、香りさえ何も身に纏っていない小夜子を見たかった。


「昼間から?」


予想通り、小夜子が目を見開く。


「うん。 小夜は、したい?」


その後一瞬目を逸らして、可笑しそうに微笑んだ。


「うん……欲しいって、思う。 から」


辿たどしくそう言って照れ笑いをする小夜子の手を引き、二人がまた建物内へと向かう。

細い鳥の声が耳を掠め、小夜子が立ち止まる。
間もなくそれが陽の注ぐ梢の向こうへと消えていった。


「どうかした?」

「……何でもない」



その夜、怜治の胸の上で小夜子が微睡みながらその理由を呟いた。


『……絵本みたいにきらめいてたあの景色を、もう一度目に焼き付けたかったから』




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