第21章 6月1日 高階家、社内
小夜子は息を整えてから深呼吸をし、軽く二度ノックした。
「どうぞ」
「少し遅くなりました」
10名程が収容出来る、会議室というよりはミーティングスペースの様な規模だ。
前回の大会議室を含め、色々な大きさのそれらが一階に集まっている。
奥の椅子に部長が腰掛けていた。
「構わないよ。 少し顔色が悪い様だけど?」
「何でもありません」
部長とは反対側の椅子の背を引き腰を掛ける。
「そうか……まどろっこしいのは性にあわないから、用件を先に話す。 高階くんときみが付き合ってるという文書が総務部長宛に届いた」
「……………」
「それでまずこちらに話が来た。 双方うちとは関わりがある訳だし」
「お付き合いしておりませんが」
「……ご丁寧に写真付きで」
手渡されたそれを見ると、社外で彼と会っていた時のものだった。
食事をしている場面。
これは一緒に帰ってた時だろうか。
どちらにしろ日が浅い。
「私、割と写真映り良いんですね」
肩をすくめる小夜子に部長が微笑む。
「暇な輩がいるな」
「本当に」