第19章 5月21日 高階家
こういう時、仕事みたいに上手く出来ないのは何故だろう?
仕事、そうか。
「確証は持てないけど、多分65パーセント位の確率で多分あれ」
怜治に向き直った小夜子がごく真面目な表情で説明を始める。
それに合わせて彼の方も身を正す。
「うん?」
「ヤキモチ、とか嫉妬とかいうものらしい」
「誰が」
「私が」
「誰に」
「紀佳さんに」
「何に対して」
「分かって言ってない?」
「ふ………」
食器棚に寄りかかった怜治が笑っていた。
何だか馬鹿にされた様な気分になり、小夜子の顔が赤くなる。
「あくまで推論。 最近一緒の時間が多かったでしょ? だから錯覚し」
「………………」
小夜子をシンクに押し付ける体勢で、怜治が口付けで彼女の言葉を塞いだ。
彼の胸が自分の鎖骨辺りに当たっていた。
……衣服を通して自分のも。
恥ずかしくて、それで早々に顔を逸らした。
彼の頬が髪を撫でる様に滑る。
「そんな事気にしなくていい。 1パーセントも」
「………て…も?」
「何」
「胸、おっきくなくっても?」
「……何だ、それ」
体を離して噴き出す彼に、小夜子が憮然としてそっぽを向く。