第19章 5月21日 高階家
紀佳さん。
可愛くって、無邪気で、小さくて、あと先ほど腕を取られて思ったけど、胸が大きい。
「………私と正反対じゃないの」
「何て?」
「何でも」
ああいう人が怜治の好みだとすると、私は違う。
あの人と話してるとこちらまで和む。
多分男性からすると、あんな感じが本当に魅力的な女性っていうんじゃないのかな。
胸に引っ掛かりでも出来たみたいにモヤモヤした。
「芋剥けた」
「ありがとう」
「レンジよく使うな」
「そう?」
「ん。 紀佳あんまり使わないし」
「………普段からそんなに時間ある訳じゃない」
「え? 何か、気に障った?」
「何でもない。 これ、混ぜてくれる? ざっとでいいから」
話しながらも小夜子はテキパキと動く。
脳と手足が別モンみたいだと怜治は感心した。
「すげえな、もう二品出来てるし」
「お米の炊き方位は今日教えとく。 簡単だし」
「うん」
「炊飯器にお米入れて……洗って水入れて」
「小夜、変だな。 どうかした、さっきから」
「だから何でも」
「なら、目合わせないの何で」
我ながら、空気がおかしいのには気付いていた。