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あなたが愛してくれたら【R18】

第19章 5月21日 高階家



「初めまして、こんにちは。 湊小夜子です」

「その声、もしかして病院で?」

「はい、込み入った時に失礼し」

「わああ、素敵な人、ね。 怜治くん。 こちらこそありがとう。 どうぞ、入って入って」


いきなり腕を取られて小夜子が面食らってると、怜治が苦笑して後から玄関に上がってきた。

紀佳はなんと言うか、たんぽぽの綿毛みたいな女性だと小夜子は思った。
朗らかで、ふんわりしてて。

家の物は古い家具などもいい物が多い様で、こういうものも大事に使っているみたいだ。
総チークのチェストなんて、今なら逆に高値が付きそうなもの。


「もう動けはするのね。 けど、食べ物系がどうしても受け付けなくて、怜治くん達にはホントに申し訳なくって」


リビングで腰を掛けた紀佳が向かい側の小夜子に困った様に話す。


「俺らの事より、だからって桃缶ばっかり食べるのもどうかと思う」

「体が欲してるものを食べたらいいって聞いた事あるから、大丈夫だと思うけど……」


まだお腹がそれ程目立ってないとはいえ、彼女の顔色はそんなにいい様には見えなかった。


「教えるにしても、やっぱり今は。 でね、せめてこれ書いといたの」


そう言って紀佳が一枚紙にキッチンの見取り図と、調味料や鍋などの配置が詳細に書かれた用紙を差し出してきた。


「わ、助かります。 ありがとう!」

「……気が合いそうだな」


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