第19章 5月21日 高階家
そんな話をしながら彼の家の途中、通り道にいくつかあるお店のここが美味い、あそこのパンはダメ、とレクチャーをしながら歩いていった。
「よく知ってるな」
「チェーンなら大体は。 怜治もすぐに詳しくなる」
「………ん」
「ダメだよ。 毎日牛丼食べて帰ったりするの」
「頑張るよ。 でも逆に飲みは増えるかも」
「……それは私もひとの事言えないわ」
十分も歩けば比較的大きな家の住宅が続く様になり、その中の一角の門戸の前で立ち止まった。
「ここ?」
「そう。 言ったろ? 古い家だって」
確かに年季は入ってそうだったが暗い印象はしない。
庭も広かったが、きちんと手入れがされているせいだろう。
途中買い物はしなかったが、怜治が食材をきちんと買ってくるせいで現在冷蔵庫はパンパンなのだそうだ。
「ただいま」
「はあい!!」
数秒でドアが開き、小夜子が引き気味に紀佳と初顔合わせをした。
もしかして待ち構えてたのだろうか。