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あなたが愛してくれたら【R18】

第18章 5月20日 社内、蕎麦屋


ランチの時間帯も終わり、社に戻った小夜子は人事課の今井と廊下を歩いていた。


「今日だったなんて、よく分かったね」

「ん、昨晩部長が教えてくれたの」

「湊さんはあの人とは未だに親交が深いから。 にしても、うちって何でいつも、訃報しか発表しないんだろうね」

「それはうちに限らず文化の問題もあるけど、同意。 人生のイベントは何であれ、軽んじられる事じゃないのにね」


非常口のドアノブに手をかける。
エレベーターもあるが、一階や二階の移動には手っ取り早いので、各フロアに二つある非常階段を使う事が多い。

重い作りのそれに、今井が小夜子の頭上へ手を伸ばしドアを支えた。

彼がやるとこんな事も自然に思える。
爽やかな外見と元々のキャラクターなんだろう。


「秋から海外赴任って聞いた。 おめでとう」


二年から五年の海外在住のセンターへの赴任。
今でも独身の人間が辞令を受ける事が多いが、それは栄転だといっていい。
階段の後ろから付いてきた今井が話しかけてくる。


「こないだ、湊さんと話して受けた。 脈無いの、分かったから」



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