第18章 5月20日 社内、蕎麦屋
「宅配とかは?」
「一昨日はピザ頼んだ」
「お惣菜とかお弁当……」
今晩はそれだな、怜治が苦笑した。
「良ければ、明日でも作りに行こうか?」
「マジで。 あ、でも悪いよ。 仕事帰りなんだろ」
「いいよ。 その代わり私も食べるって事で」
「嬉しいけど、いいの?」
「勿論。 プレゼントのお礼もしたいし」
「じゃ、無理の無い範囲でお願いします」
「はい」
ぺこりと頭を下げる怜治につられ、小夜子も一緒にお辞儀をした。
「でも、せっかくだから横で見させてもらっていい?」
「いいけど?」
「助かる。 俺もこれから色々覚えたいし」
怜治が素早くスマホにメッセージを入れた。
家族想いで前向きな彼の様子にこちらまで嬉しくなった。
「紀佳もありがとう、だって。 凄え恐縮してるけど」
「そう」
彼との時間が増えていく。
それをちっとも嫌に思わない自分を不思議に思う。
思いがけない贈り物。
でも、これで少しはそんな借りも返せたらいい。