第18章 5月20日 社内、蕎麦屋
「………」
どうやら彼はここで開けるのを待っているらしい。
そんな怜治に可笑しくなりながら、その中に入っている濃いブルーの紙袋を取り出す。
続いて、ブランドのロゴがついた同色のパッケージボックス。
薄紫のリボンを解く。
「わ……」
暖色系の色を基調にした、繊細な細工の髪留め。
薄明かりの下でも眩しい位。
並んだ小さな石が瞬いていた。
ひと目でそれなりに高価なものだと分かる。
「凄く綺麗……けど、こんな。 私、誕生日でも何でもないんだけど」
他人に……男性にプレゼントされたのなんて初めてじゃない。
それなのに凄く嬉しかった。
「大切にする」
「付けないの?」
「こんなの普段用じゃ勿体無いもん」
「じゃ、今だけ」
「ここで?」