第18章 5月20日 社内、蕎麦屋
そう思い、気が付いた。
でも、私は彼に話していない。
それは不公平なんだろうか?
……弱さしかないそんな自分を、そんなものは知るに値しないのではないだろうか。
達ちゃんみたいに、拒絶されたら?
「何で……」
怜治には受け入れて欲しいのだろうか。
……何にしろ、狡く立ち回るなんて嫌だ。
余計な事は考えないで、きちんと借りは返すこと!
昼休憩のチャイムがなると同時に小夜子が立ち上がる。
「あ、湊さん。 さっきの書類」
「ごめんなさい、午後に!!」
言うが早いか、彼女が髪を翻してフロアを出て行った。
取り残された弁当組が首を捻る。
「また随分と、張り切ってますね」
「……どっか美味しい弁当屋でも出来たのかな?」