第17章 5月18日 社内、デパート
「うわ、万? これなんの石?」
「ガラスです」
「ガラス………」
ビー玉に二万。
「酸化鉛の含有量比が高いものがスワロフスキーガラスって呼ばれるんですよ。 ほら、虹みたいでしょ?」
武井がその中のひとつを取って指で回すと、光に反射して赤や黄、ブルーにキラキラと輝いた。
「……綺麗なもんだな」
その後ああだこうだと武井の講釈を聞きつつ、細かなスワロフスキーが散りばめられたバレッタを購入する事にした。
「……しかしこれ、二人で三回飲みにいけるぜ」
「同じスペックの男が二人いるとしましょうか」
「え?」
「身長は同じ178。 顔は上の下。 中肉でそれ程お洒落でもなく、仕事は早くても目立たず気が利かない」
「それ、誰の事……」
「その辺のファンシーショップの袋に入った700円の髪飾りと、この高級感溢れるボックスに入ったフォーマルにも使える髪飾り。 さあどちらを贈ってくれた男を選びます?」
「………分かった。 買うよ」