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あなたが愛してくれたら【R18】

第16章 5月15日 病院



「……別にこれが原因で家出るって訳じゃなかったけど、一部でもある」


小夜子の心の内を呼んだみたいに怜治が話し始め、彼女が怜治に向き直った。


「軽蔑されるかもしんないけど、あの人が俺の好きだった人だ」

「………………」

「親父は昔から家に居なかったし、良くしてくれたのはあの人だけだった。 それで自然に……気付いたらそういう関係なって」

「そういう関係……」


怜治がやや曖昧に頷く。


「他人に言う事じゃないのかも知れないけど。 ここまで来たら話しといた方が手っ取り早いかと……え?」


最初に、それから達郎の店で彼と話した会話。


『そんな気楽なもんじゃない』


あれはやはり『彼』だった。

一筋、二筋と小夜子の頬に涙が伝った。


「何? なんか、俺……小夜子?」

「ごめ………」


堪えようとすると余計に出てくる。

両手で鼻の脇を抑え、俯いた。


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