第16章 5月15日 病院
それは割と大きな病院だったが、事情を話したタクシーの運転手が、外来の受付ではなく救急専用の窓口を訪ねるといい、と教えてくれた。
出入口に着けてくれた車を降り、小夜子が受付の女性の方へと向かう。
「あの、急患で運ばれたって聞いたんですけど」
「お名前は?」
「高階です。 高階怜」
「……ああ、先ほどの。 産婦人科ですね」
「……………は?」
訳が分からなかった。
だが、言われた通りに産婦人科に向かうと待合室の廊下に立っていた。
およそその場所にそぐわない怜治が。
「へ? 湊さん?」
「ええと……」
どういう顔をしていいか分からなかった。
微妙な表情の小夜子に怜治もまた微妙な反応を返す。
「………何でここに?」
「だって、救急車でここに運ばれたって」
「そりゃ……あ、俺の事って? 悪い」