• テキストサイズ

あなたが愛してくれたら【R18】

第16章 5月15日 病院


お互いの自宅からちょうど中間ほどの位置にある、比較的大きな公園の出入口。
待ち合わせスポットでよく使われる。

昼前にそこに着き、小夜子は周りを見渡した。
割とギリギリに来たというのに、怜治はまだその場に居なかった。

待っている内に間もなく、カップルの待ち合わせや何かで一人また一人とその場を離れていく。


「遅いな」


十分も過ぎて、小夜子は会社で感じたこないだの漠然とした不安を思い出した。

周りに人が居なくなり、私が一人になる。

こんな時に、なにを馬鹿馬鹿しいと首を振った。

けれど。
私が頼られると弱いのはそれが理由なのかもしれない。
必要とされる事。
助けられてるのは私の方ではないのか。


そんな風に思いを馳せていた時に、電話の方の着信が鳴った。


「小夜子」

「高階くん? どうしたの」

そんなに慌てて、と言い終わらないうちに彼の声が被さる。

「急に腹痛起こして、今から病院行く」

「ええ!? だ、だい」

「救急車呼んだから」


小夜子の顔から血の気が引いた。


「どこの病院!?」

「多分南口の原田病院。 悪い、切る」


そこでブツっと通話が途切れた。


「……………」


救急車って?
それは余程の事だ。

家の人は居ないんだろうか?

何しろ、ここに居ても仕様がない。

数秒程その場で逡巡し、小夜子は車道側に駆け、手を挙げてタクシーを呼んだ。




/ 309ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp