第16章 5月15日 病院
その日は曇りとまではいかないが、薄らと合間に雲がかった空模様だった。
暑くもなく、寒くもない。
日焼けの心配があまり無いので小夜子はほっとした。
「歩き回るんだろうから、ラフな方がいいかな」
レンジで温めたカフェオレを口にしつつ、クローゼットを物色する。
ついでに今週のやり取りを思い返していた。
『他に女性いないの?』
『いない』
いないって事、無いでしょうに。
よく分からないけど、遠距離とか色々あるのか。
その辺の込んだ話は、そういえば彼とあまりした事が無い。
最初話してた怜治の好きな人って、あの人なのかな?
彼女がいるのに、一緒に買い物ってアリなの?
「……私の知ったこっちゃ無いんだけど」
とはいえ。
センスがいい等と言われ、悪い気がしないでもない。
何だかんだで自分は頼られると弱い。
華美すぎないワンピース、か普通にジーンズ。
低いミュールを履いていけば良いだろう。
一応街に出る訳だからと、小夜子は前者を選んだ。