第13章 4月29日 達郎の店
「お待たせ」
「……大丈夫? 飲みすぎた?」
上体を向けて、怜治に視線を送った。
目だけで彼に微笑みかける。
「全然」
怜治が座る時に彼の手が小夜子の背中に置かれた。
そのまま腰を下ろした怜治がこちらの方向を向き、開いた脚の間に彼女の膝先を入れる。
だが、正直に言うと、小夜子は笑い出しそうだった。
怜治がじっとこちらを見詰めていた。
彼って、根は真面目だ。
今何を思ってるんだろう?
怜治が手を伸ばし、小夜子の髪に触れる。
そう来る?
ふと、彼が目を細めた時に、意外と睫毛が長く細い事に気付いた。