第13章 4月29日 達郎の店
とはいえ、だ。
何で自分がこんな心配までしなきゃならない。
そんなのはどうだっていいんじゃないのか。
第一、一旦嘘をついたら雪だるま式に膨れ上がる。
怜治は自分の立ち位置を決めかねていた。
「母親と叔父さんって、随分離れてるんだな」
「ん? うん。 ひと回り位は」
「家は近かったの?」
「そう。 達ちゃん、頭も良かったし宿題とか押し付けて、随分な事したな」
そんな昔からか。
「俺とこういう設定なのって、親がうるさいからだろ?」
「う。うん。よくわかったね。 達ちゃんが、親に告げ口するから、監視役みたいなもん?」
「その歳だと、そりゃ心配するんじゃないの?」
「その歳って…いいけど。 でもそうだね。 仕事もあるしそんな気なんて、ないのに」
「…………………」
「高階くん?」
「トイレ」