第12章 4月27日 会議室、社内
「へえ」
「おかしいだろ? てことはだ。 派手に遊んでるって事だろ?」
「それ、噂ですか?」
「彼氏いない歴は本人から聞いた。 飲み会んときにチラッとだよ、チラッと」
「…………」
「んな訳ないよなあ、湊だぜ?」
さっきの達郎からの電話に何となく合点がいった。
姪っ子に初めて出来た彼氏に、挨拶。
悪く言うと様子見とか、偵察って所か?
「……あんまり驚かないのな? 」
「いや、俺もそうですから」
「ああ!?」
彼氏いた事無し。
男を知らない訳でも無し。
恐らく滅茶苦茶遊んでる訳でも無し。
自分と似てる。
『そんなの、ただの性欲な訳だし』
根っから冷めてるのか?
あんなに面倒見がいいのに?
「いや、むしろ………」
机の上を人差し指でコン、コンと叩く。
何だろう。
何か引っかかる。
彼女のホントとウソ。
本気と誤魔化し。