第12章 4月27日 会議室、社内
会議の一部の様子は以下だった。
50名程が収容できる、社内では一番大きな会議室。
毎月、主だった発言をする部課が末席に着く。
部長の左横で起立した金子が幾分緊張した面持ちで説明を始めた。
「えー……1月にご紹介した人事と会計システムの統合に伴い、今月無事稼働を果たした本課では、今期初めの試みとして周辺資源の諸整備に努める事を計画しております。 各期に分けたお手元の資料をご覧下さい」
一通りの説明を終えた後には各部課の定例の業務報告が続く訳だが、その間の質疑応答で年配の主事が手を挙げた。
「内容について理解致しました。 ですが今金子さんがご説明したとおり、来季にはシステム全体の統合という大きなプロジェクトが控えております。 その前に、今仰られた内容は貴課の作業負担を超えるのでは?」
その発言に他の面々も頷く。
それは言われても仕方無い、と小夜子は思っていた。
来季プロジェクトにかかる経費は数億。
今年はその準備や現状の保守に注力すべき、というのは普通の意見だろう。