第12章 4月27日 会議室、社内
翌日の会議が終わり、一斉に会議室を出た面々は、それぞれその出来を表すかの様な表情をしていた。
口角を上げ背筋を伸ばす小夜子。
怜治は肩が凝った、という風に首を左右に傾げている。
ほっと安堵してため息をつく金子。
半数は出口に向かい、階上に上がる人々がエレベーターホールに集まりかける。
「金子くん、ちょっと」
「……湊」
そこでにっこりと微笑んでいる小夜子が決まりの悪い顔をした金子に手招きをする。
のろのろと彼女の元へ向かう金子を見て見ぬふりをしつつ、怜治は最初のエレベーター内の第一陣に収まった。
『金子くんの事は私が〆とくから』
そんな昨晩の彼女を思い出し、笑いを堪える。
彼に近い部課の人間が背後から声を掛けてきた。
「高階、さっきはお疲れ様」
「出来のいい若いのが入ったなってCOOの爺様が褒めてたぞ」
「……いえ。 上司のお陰です」
口許を抑え、怜治がそれに応えた。