第12章 4月27日 会議室、社内
それに対してシステム管理課に繋がる事業部長が続き、現在と見込みの人工に対する具体的なデータを出してきた。
それらに対しての人件に対する負荷は現時点を大きく超えないだろうと。
「金子くん、次期プロジェクトの進捗についても説明を」
「はい」
痩身で柔和な外見ではあるが、管理職の中でも事業部長は仕事が出来る人間でもある。
大胆で、緻密。
小夜子が新卒の時から一等世話になっていた人間でもあった。
周りにも彼がそう言うなら、という雰囲気が流れ始めた。
「あの、すみません」
控え目に手を挙げたのは出資側財団の主幹。
小柄な人物だった。
指先で眼鏡を上げる。
「概要は分かりました。 しかしご説明の内容ではどうしてもマクロなレベルを抜けません。 トラブル時において仕組みが複雑で未成熟な場合は尚更に復旧への遅延を引き起こします。 そうでないという担保と、この時期に各インフラに変更を加える必要性をお示しいただきたい」
「金子くん」
「は……はい。 二番目のご意見ですが、これはどちらかというと本課よりも他課からの要望がございました。 そもそも人事との統合はこの仕組みを導入するのが不可欠でございまして」
金子の顔色が若干悪くなってきた。
その辺をまとめたのは課長だが、今日は居ない。
周りからツッコミが入りそうな場面では課長はいつも約立たずだ。
「不可欠、とは?」
「え、ええとつまりですね……」