第3章 二限目
「宇髄先生もいらないこと言わなくていいです!」
「なーんで?俺は取り持ってやってるつもりよ?」
「どこがですか!」
「余計こんがらがってますよ!」
そう糸がぐちゃぐちゃになってるようだ
私は深いため息を吐き無駄に力強く宇髄先生の指に絆創膏を貼った
「おいおい!そんなに絞めたら血が止まっちまう!」
「なら自分で処置してください!」
私はさっさと宇髄先生を追い出した
もう!あの人はなにがしたいのだ
冨岡先生も冨岡先生だ
なに話してるんだ
しかも、よりによって宇髄先生なんかに
結局また誤解が...
もう
いいか...
不死川先生はきっとカナエ先生といる方がいいのかもしれない
私は薬箱を抱きしめた
その夜
いつものバーに行く
今日は誰もいない
ホッとした
1人で飲みたい気分だったから
カランとグラスの氷が溶ける
それを静かに眺める
もう諦めた方がいいのかもしれない
いっそ冨岡先生と付き合った方が幸せなのかもしれない
でも心にはまだ不死川先生が映る
「不死川先生ぇ...」
カウンターに項垂れる
ここには彼はいない
いない人を呼んだとて現れるわけ
「なんだぁ?」
私の隣に不死川先生が座っていた
「え!?いつから...」
「今さっき」
私はバッと起き上がった
「俺のこと呼んだろぉ」
「え、いや、それは..!」
急に恥ずかしくなる
「どうした?」
そんな優しい顔をしないで
そんな目で私を見ないで...
好きなのをやめられなくなっちゃう
「私、好きな人に誤解されてるんです」
「ん?」
「でも、もう諦めようと思ってたのに優しくされて...やめられない」
「無理してやめる必要ねぇんじゃねぇか?」
不死川先生は優しい
その優しさを私に向けてくれる
それが嬉しかった
「やめなくていいですかね、不死川先生...」
涙目で私は訴える
「っ、あ...あぁ。...俺も、辞めようと思ってたが...やめられねぇよな」
2人で笑う
この気持ちはやめようと思ってやめれるものじゃないのだ