第3章 二限目
休日私は街に買い物に出かけていた
見かけてしまったのだ
不死川先生とカナエ先生を
休みの日に2人で出掛けている
「やっぱり...」
2人は付き合っているのだ
そう思う他ない
楽しそうにする彼らを遠くから私は見るしかできなかった
その日冨岡先生に連絡をした
するとすぐに来てくれる
「どうした急に」
「っ、冨岡先生...」
私は涙を堪えきれず泣いてしまった
冨岡先生は私を優しく抱きしめてくれた
「俺にしておけ」
冨岡先生はそう言った
そんな優しい言葉に甘えてはいけないけれど、今は誰かに縋りたい気持ちだった
結果冨岡先生に甘えてしまったのだ
泣き止まない私をどうしたものかと冨岡先生は家に連れてきていた
「ぐす...っ」
「泣き止んだか?」
「はぃ...」
冨岡先生は何も聞かない
静かに待っていてくれる
「さっき...不死川先生とカナエ先生が歩いてるところを、見ちゃって...」
「そうか」
「なんだか急に泣きたく、なっちゃって...ごめんなさい」
「謝らなくていい」
冨岡先生はお茶を出してくれた
それをゆっくりと飲む
「呼び出して、家まで上がったりして...ごめんなさい」
「連れてきたのは俺だ」
言葉は少ないけれど、優しさは伝わる
人目を気にして連れてきてくれたのだ
「冨岡先生って、優しいですね」
私が微笑むと冨岡先生は目を開いた
「そうでもない」
そっけない返事
照れているのだろう
頬が少しだけ赤かった
「私、帰りますね」
立ち上がる私を引き止める手
「もう少し、一緒にいないか」
そんな目で見ないで欲しい
私は持ち上げた腰をまたそこに下ろす
質素な部屋
飾りも特になく、必要最低限の物しか置かれていない
「冨岡先生は趣味とかはないんですか?」
「...ないな」
「お休みの日はなにをしてるんですか?」
「...走ったり」
「体を動かしてるんですね!」
「あぁ」
他愛もない話、主に私が話していたけど
気付くと夕方になっていた
「そろそろ私帰りますね」
「送る」
「いえ、まだ陽も高いから大丈夫ですよ」
冨岡先生はしょんぼりしていたが私は先生の部屋を出た