第3章 二限目
あれから1ヶ月が経つ
私は仕事に手がつかずに遅くまで残っていた
暗くなる学校
部活動生も帰る時間
保健室から光がさしていた
「はぁ...」
静かな廊下から足音がこちらに向かってくるのが聞こえた
「誰かしら」
入り口に目をやると不死川先生だ
「こんな遅くまでなにやってんだぁ」
「不死川先生こそ」
不死川先生入り口に背をつけもたれかかる
「俺は明日の小テスト作ってたんだよ」
「大変ですね」
「おまえはとっくに帰ってる時間だろうが」
「私は...仕事が溜まってしまって。でも、もう帰ります」
立ち上がり鞄を手に持つ
「俺も帰るところだ」
「?」
「途中まで一緒に行くかぁ?」
それは嬉しいお誘いだった
「はい」
私たちは部屋に鍵をかけ学校を出た
道中何も会話がない
そうだ!今誤解を解かないと
そう思った私は不死川先生を呼び止める
「不死川先生!」
「あ?」
「あの、あの噂なんですけど」
「まだ言ってたのかよ」
「誤解なんです!あの、前の食事をした時私がお会計したのでお礼にってお誘いされて...」
真相を話す
「でも、冨岡はおまえに好意があるのは本当じゃねぇか」
「それは...」
それもまた本当のことで
不死川先生も知っている
私ははっきりと断ったわけでもない
「でも!私好きな人がいるのでっ!」
「そう、なのか...?」
不死川先生は大きな目を丸くする
「だからお断りするつもりで」
「そうか」
不死川先生は歩き出す
私も後をついて行く
「不死川先生は...その好きな方とかいらっしゃらないのですか?」
「まぁ...いない訳じゃねぇけど」
いるんだ...
「そいつも好きな奴がいるらしぃしよぉ」
「そうなんですか?」
「あぁ」
そうか...
皆んなそれぞれ苦しんでるんだな
私は静かに不死川先生の隣に並んだ