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【名探偵コナン夢】 フルーツサンド 【短編集】

第3章 ラブ・エモーション【沖矢昴】*




「先生、今日はこの重い鍋を使って何を?」


「今日は無水鍋を使って、肉じゃがを作ります。
沖矢さんはいつもどのように肉じゃが作りますか?」


「そうですね…食材を切って、炒めて、水や調味料と煮る…
と言ったところでしょうか」


「正解です。ただ、今日は ”無水” なのでお水は入れません」




ホォ―…と言いながら沖矢さんはこちらを見てくる。

分かったようで分かっていないような、そんな感じだ。



「ふふ、食材から出る水分を使うということです。
無水鍋は蓋も重く穴が開いてないので、
密閉性がほかの鍋よりも高いため蒸気が外に逃げず、
鍋の中に滞留するんです。
この蒸気がお水の代わりですね。
蒸気とはいえ、野菜のうまみがたっぷり入った蒸気です。
調味料を沢山いれなくても、野菜本来の味が感じられる
美味しい肉じゃがになりますよ」



一通り説明を終えて沖矢さんを見ると

小さなノートにメモを書いていた。





「なるほど、重いのには理由があったんですね」


「その通り。では、作っていきましょうか」














3か月前の水曜日、いつも通りレッスンのためにお店に行くと

背の高い男の人が中を覗いていた。




「こんにちは。料理に興味がおありですか?」


「あぁ…こちらの方ですか?
実は最近一人暮らしを始めたのですが
コンビニ弁当やスーパーの総菜にも飽きてきたところで…
自分でも料理をしてみたいなぁと…」


「そうなんですね!
よろしければ今日のレッスン見ていきませんか?」



私がそう言うと、是非と人懐っこい笑顔を向けてきた。

物腰も言葉遣いも柔らかく、良い人そうだな…

私は沖矢さんにそんな第一印象を抱いた。



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