第6章 ちらちらと振る白い雪
クリスマス当日
仕事が少し遅くなってしまい急いで家へと帰る
シャワーを浴びた後用意していたタートルネックのニットにタイトなスカートを履き化粧直しをした
コートを羽織りいつもはしないピアスを着ける
思いっきりおしゃれをしショートブーツを履いて玄関を出た
「あ、雪だ」
チラチラと雪が降る
道理で寒いわけだとマフラーを巻いた
ギリギリ約束の時間に間に合いそうだと小走りで待ち合わせ場所へと向かうと既に実弥の姿があった
「実弥!」
「おぉ」
「待たせちゃった?」
「いや、そうでもねぇよ」
実弥は腕時計に目をやり時間を確認する
「そろそろ行くか」とちひろの手を握る
ちひろも嬉しそうにその手を握り返す
静かなお洒落なレストランを実弥が予約していてくれた
「おしゃれな所だね」
「あぁ予約ギリギリだったみたいだぜぇ」
人気なレストランのようで周りはカップルばかり
皆んなそれぞれのクリスマスを堪能しているようだ
次々とコース料理が運ばれてくる
それを毎回嬉しそうに食べるちひろを実弥は優しく眺める
「なぁに?」
「ソースついてんぞ」
「え、うそ」
急いでナフキンで口元を拭うと「大丈夫?」と尋ねる
実弥は優しく頷く
「美味しかったねぇ」
「そぉだな」
レストランを出れば雪は降り止んでいた
「あー雪やんじゃった」
「これ以上寒くなるのは勘弁だ」
「これからどうする?」
「ホテル予約してある」
「え?」
「明日遅番だろ?それまでゆっくりしようぜぇ」
実弥がホテルを予約していてくれた
2人だけの時間を用意してくれていたのだ
「ありがとぉ」
「このくらい普通だろ」
そう言ってタクシーを止める
2人でタクシーに乗りホテルへと向かう