第6章 ちらちらと振る白い雪
夕方 仕事が終わると雨が降り出した
「あー雨だぁ」
そういえば実弥は傘を持って行っただろうか...
そんなことを思ってちひろは閃いた
「そうだ!学校に傘届けに行っかな!」
そうと決まれば急いで家に帰ってもう一本傘を手に取り学校へと急いだ
ちょうど下校する学生で賑わっていた
場違いな感じがして少しドキドキする
「ここまで来たはいいけど中に入ってもいいのかなぁ」
校門前をウロウロしていると女子生徒のきゃっきゃっ言う声が聞こえて来た
「実弥先生ー傘ないのー?」
「入れてあげよっかー?」
それは実弥に群がる女子生徒達だった
ちひろはズキっと胸が痛くなり思わず隠れてしまった
「実弥先生、そんな肌露出してたら風邪引くよー」
「おまえらこそスカートそれ違反だろうがよ」
「きゃーどこ見てんのー?えっちー」
女子生徒達はとても楽しそうだった
「じゃ気をつけて帰れよ」
「「はーい」」
生徒を見送る実弥は校門前で立ち止まっているちひろを見つける
「ぅおっ!ちひろ?何してんだぁ」
「...」
無言で傘を差し出す
「傘持って来てくれたのか、ありがとな。...?どうした?」
「随分楽しそうだったわね」
ずっと下を向くちひろの低い声
「なんだぁ?見てたのかよ」
「いつもあんなんなの」
「勝手に絡まれるんだよ」
「ふーん」
実弥はそんな態度のちひろの様子で嫉妬していることに気付く
「なんだぁ?嫉妬してんのかぁ?」
「...っだってだって」
「まだわかんなぁのかよ。俺はお前以外眼中にねぇよ。ましてや生徒だぜぇ?」
「そんなのわかんないじゃん」
生徒は明らかに実弥のことを気に入っている様子だった
ちひろは不安で仕方がなかったのだ
「とりあえずおまえん家帰んぞぉ」
「...うん」