第1章 桜ひらひら
翌朝
ちひろは玄関で寝ていた
「あったまいたぁぁ」
二日酔いだ
あれだけ酔うことはあるが記憶はしっかりと残っており、実弥に悪いことしたなぁと思う
「今度は奢ってやらなきゃなぁ」
ちひろはシャワーを浴びて仕事へ行く準備を始めた
「いらっしゃいませー」
ちひろは元気よく客を迎える
実家の定食屋で働くちひろは可愛らしく元気で客にも人気があるいわば看板娘だ
「いらっしゃ、あ!実弥!」
「ぉぅ」
客数が少し落ち着いた頃に実弥がやってきた
高校教師をする実弥は今は生徒が春休みで学食が閉まっている為昼食は外に出て食べていた
「肉野菜炒め定食」
「はーい」
ちひろは素早く調理場に行き肉野菜炒めを作る
ホール兼調理人なのだ
「はいよ、肉野菜炒め!」
「ども」
いつものようにご飯は大盛り
実弥は手を合わせいただきますと心で言って食べ始める
「実弥、昨日はごめんね?」
「覚えてんのかよ」
「記憶を無くすことはございません」
「そーかよ」
実弥は気の迷いを起こさなくてよかったと内心思った
「今日夜ご飯奢るよ!」
「わり、今日は玄弥と約束あんだ」
「あらそーなの?」
玄弥は実弥の務める学校の生徒で弟だ
「あーでも9時には家についてるな」
実弥も折角のちひろの誘いを完璧に断ることができない
「そしたらデザートとお酒持っていくわ!明日定休日だし」
「俺は仕事だ」
「気になさらず」
「...いーけどよ」
ニコニコとするちひろとは反対に溜息を吐く実弥
「じゃごゆっくり〜」
ちひろは店の仕事へと戻って行った
実弥も食事を続けた